2010年4月にオープン予定(今から約10ヶ月後)の
「三菱一号館美術館」を訪ねてきました。
「三菱一号館美術館」の建物は、1894年、
丸の内に初めて誕生したオフィスビル
「旧三菱一号館」が前身です。
クイーン・アン様式を用いた赤煉瓦の建物で、
鹿鳴館を設計したことで知られる英国人建築家
ジョサイア・コンドル(1852–1920)が手がけました。
1968年に解体されて消滅していたのが、
当時の設計図面や保管部材を使用するなど忠実に復元されて、
ついに現代によみがえることになったのです。
内覧会では復元の様子をビデオで拝見して、
想像以上の大変さに驚いてしまいました。
約230万個の手づくり赤煉瓦は
中国・長興で焼き上げられて、
中国・長興で焼き上げられて、
日本全国から集まった職人によって
一つひとつ積み上げられたとか、
一つひとつ積み上げられたとか、
装飾石は当時と同じ安山岩が採掘不可となり、
近似した徳島県の江特石を切り出し、
それを中国に運んで加工…。
それを中国に運んで加工…。
二年以上に渡り、あらゆる部分に伝統的な職人技を
注ぎ込んだという行程は凄まじくパワフルです。
資材や加工の一部を中国に委ねたのは、
当時のように代々継承されてきた煉瓦造りや、
天然石の加工が、今の日本でできないから。
ところが中国でさえも、
今回のように大規模な受注は
今回のように大規模な受注は
最後になる可能性が高いらしい。
もし再び解体なんてことになったら、
二度と復元できないかもしれない。
それを知ると今回の復元ストーリーは
ことさら意味がある気がします。
三菱一号館美術館の館長の案内で地上階、
そして地上階からエレベーターで最上階まで上がり、
一筆文字を書くように階段で降りてくるというルートは
全体像を把握するのにかなりわかりやすかった。
最上階は、広々としたパリのアパルトマンの如し。
大きな窓と暖炉が魅力的です。
でも、これから部屋を美術館仕様にすると、
展示用の壁面の裏にすべてが隠れてしまうとのこと。
どの部屋でも目を引くシックな暖炉が
すべて壁の裏に隠れてしまうのは残念。
ただ一部はこの状態のままで残すことを検討中とのことなので、
開館してもで窓や暖炉が見られる部屋が残るかもしれません。
(結局、暖炉は展示スペースに残ることになったのですね! 2010年4月5日追記)
館長の高橋さんは国立西洋美術館で
学芸課長として活躍されていた方。
文部省在外研究員としてパリのオルセー美術館開館準備室に
2年在籍した経歴も持つ19世紀美術の専門家です。
パリで一緒にお食事をしたことがありますが、
いい意味でとてもフランス的な方です。
その高橋館長がキューレターを務める開会記念展は、
「マネとモダン・パリ」の予定。今から楽しみです。